広島時代にも同じことがあった。と、広島仲間に言ったので、そのことを思い出した。
やっぱり恋のことで落ち込んでいて(恋は魔物です)、その日も仕事帰りにまったく気がそれた状態でアパートの部屋があるビルに入った。
階段を上がったのに何も気づかずに鍵を開けて部屋に入ろうとした。そのとき、後ろから「入れてぇ・・・」と男の声がして、振り返ると見知らぬ人が入ろうとしている。
瞬間、金切り声を上げながらドアを閉めた。
なんとか外に押し出して、息を切らしながら鍵をかけた。
しばらく呆然としてから警察に電話した。
この事件もやっぱりどうなったのか結果はわからずじまい。
だけど、なにごともなかったのは本当に幸いだった。
この一件と、その後のひったくりの一件があってから、夜道はとにかく気を張って元気に帰る方針に変えた。
ちょうど、今日。
この話をしたわけではないけれど、20代、30代のわたしの話を聞いてくれた人が、よくがんばったな、この子はよくぞここまで色んなことをあきらめんと続けてきたな、と心から伝えてくれた。
昨日まで、若かったわたしを面白がって揶揄していた自分に気づく。
そうやって、自分のこころの傷に蓋をしてきたことに気づく。
ほんとうにしんどかったわ。
ようやったわ。
自分のこころにハグしたら、子どもにも「ようやってきたわ」とハグすることができた。