息子が幼稚園のころ、一駅向こうの森に毎週通った。
その時間は、今振り返ると、本当に輝いていた大切な時間だった。
幼稚園の先生が吹く楽しい笛の音に、小人たちが集まってくる。
先生は森の中で、小人たちに特別なお話を語って聴かせる。
小人たちも、真剣な顔でお話しに耳を傾ける。
今日は気持ちのよい初夏の日。どうしても外でお弁当が食べたくなって、久しぶりにあの森にやってきた。
ふと、笛の音と小人たちのさえずりが聞こえたような気がする。
人の話に耳を傾ける。
お香のかおりに耳を傾ける。
森の語るお話しに耳を傾ける。
耳を傾けることは、的確に伝えることよりも大切なように思う。